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ウジャマー/トークイベント1回目(全3回)

ウジャマーで開催されたトークイベントの様子を3回にわたってレポートいたします!


ウジャマー午前の部は、岩手県遠野の風土農園・伊勢崎克彦さんが

「里山の保全 地域の資源の大切さについて」お話しくださいました。

風土農園 伊勢崎克彦さん(右)とパートナーのまゆみさん 聞き手はリタの金野大介さん


伊勢崎さんは岩手県遠野市農家の16代目。ササニシキの親にあたる品種「ササシグレ」を17年間、無農薬、無化学肥料、無施肥、天日干しでつくり続けられています。

ご自身が社会に出たころ、一般的な農業、一次産業、自然の生きものたちの場所をなくしてしまっているんじゃないかなと感じられたそう。ちょうどそのころ自然栽培でりんごをつくられている木村秋則さんにお会いしたことで、農業をしてみようと思うように。自然栽培自体がマイノリティということもあってはじめの2~3年はお米が売れ残ることもあったとのことですが、いろんな方の助けや応援もあってご自身で販路を開拓していかれました。お話会では立ったり、呼びかけたりして来場者のかたの反応をたしかめながら対話をするように、またひとつひとつご自身とつながりながらぴったりのことばを探しながら伝えてくださったのが印象的でした。

聞き手は、リタの金野大介(コンノダイスケ)さん。ご自分がされたいこと、やってみたいことをなるべく貨幣制度からはなれ、日々全力で取り組まれています。写真を撮ったりデザイン、企業の企画運営などにも携わられています。マーマーな農家サイトのホームページの更新も担当してくださっています。

長いおつきあいがあるという伊勢崎さんと金野さん。お話は、リラックスした和やかな雰囲気で進みました。来場された方からも次々と質問が寄せられました。


お話会の内容の一部をマーマーな農家サイトスタッフが編集したものを3回にわけてご紹介します。

*マーマーな農家サイトのインスタグラムで、当日ライブ配信したお話会の後半部分をアーカイブでご覧いただけます(前半はアーカイブが残せませんでした)。



水のこと、川のこと、海流のこと/


伊勢崎さん(以下、伊勢崎)

みなさん、おうちで飲んでいるお水、どこから来たものを飲んでいるかわかる人いますか?

(来場者から「中津川」「小出川(おでがわ)」などの声があがる)

中津川はここ盛岡を流れていますよね。中津川は北上川に合流しますよね。おうちの蛇口をひねると出るお水はどこから来ているか、みなさんにちょっと想像してみてほしいんです。

(伊勢崎さん、絵本を手にする)

「かわ」っていう絵本を知っていますか?この本をちょっとこれ広げてみようか。ひっぱって広げてください。

(折りたたまれた絵本が広げられ、席を立って本を手にしながらひっぱってまわしながら見ていく。興味深そうに、時に声を出しながら、しばしにぎやかな閲覧タイム)。




会場いっぱいに広げた絵本をみんなで手にして、まわしながら見る。




「かわ」(加古 里子 作・絵/福音館書店)

高い山の雪どけ水や、山に降った雨から生まれた小さな流れは、谷川となって山を下ります。小さな流れは、ダムに貯められて発電所で電気を起こしたり、激しい水の勢いで岩をくだいて小さな石ころにしたりします。そして、やがて平野に出るとゆるやかで大きな流れになります。田んぼを潤し、水遊びや魚釣りの場となり、いつしか大きな川になって、最後に海へと注ぎます。一つの川をめぐる自然と人間の営みを横長の画面いっぱいに細部まで描き込んだ絵本です(出版社のHPより)。


 みなさん、自分はどのあたりの場所に住んでいるのかなって想像しながら見てくださいね。できれば山から海まで流れていくのを通して見てほしい。水がどんな場所を経て海まで行くかをイメージして。この本にあるように、川は高いところから低いところに流れているんですよね。

5年ぐらい前に、僕が住んでいる遠野市のお山からもうちょっと上流域にある僕らが飲んでいるお水の源流まで歩いていきました。そこから下って、じゃぶじゃぶ歩いて、たくさんの支流が集まる河川へ。遠野の盆地を流れている大きな川・猿ヶ石川に支流が注いで、そこから花巻を通って北上川に流れていく、、。そこを泳いだり、ボートに乗ったり、1週間ぐらいかけて行ったんですが、GPSで測ったら川から海まで全部で190キロありました。一番最後はすごい大雨で増水していたので海までは行けなかったんですが、190キロすべてが間違いなくつながっているのを確認しました。

そこで思ったのは、田んぼで使った用水はどんどん下流に流れていくということ。僕たちは最上流に住んでいて、中流域や下流域に住んでいる人たちはその水の恩恵を受けて暮らしていますよね。だから、僕たちが汚れたものを流せばその影響はおのずと下流の人に及ぶ。ですから、僕たちは上流に住む一次産業のものの責任として、やっぱりそうじゃない選択をすべきだというのをずっと思っていて、もちろんそれを実行していたんですが、、明らかに川が線でつながっているのを確認できたときに、「みんないっしょ、運命共同体なんだ」と思いました。田んぼ、森林も昔だったら共有で管理して山の整備もしていたけど、今はもう農業をする人たちもいない。僕たちの農村でも50世帯のうち農業をしているのは数軒で、僕の世代は僕のところだけ、僕の下の世代はもちろんいない。農業をしているのはみんな古くからしている人たち。うちは僕で16代目なんですが、ほかの古い農家さんたちは離農していっている。農村には住んでいるんだけれど、耕していない。すると、その土地の価値、その土地の意味っていうのを伝える手段を持っていない。だから山もいらない、畑もいらない、買ってくれる人がいたら買ってほしい、お金に換えたい、、。でもお金にチェンジしていくときに、山でいうと山を丸裸にして道路をつけて山を壊しながら林業もされているっていうのが現状。

それを僕は守りたい。その理由は、僕が生かされているのはその流域にある自然資源そのものだから。僕の経済の源は、自然資本そのものなんですよね。でも実際は、自然資源の恩恵を受けてきた人自体が減って、それをたいせつだと思う人も減っている。となって、そのものが劣化し始めている。


つづいて、田んぼの話をしたいと思います。みなさん、マイクロプラスチックって聞いたこと、ありますか? 今、田んぼはたくさん化学肥料を入れてつくって収穫するのが主流になっているんですね。2年ぐらい前、NHKでマイクロプラスチックが海に流れ着いて生態系を乱しているということがニュースになりました。僕のところの田んぼはもちろん化学肥料は使っていないからないんですけど、今回あたらしく借りて開墾した場所でマイクロプラスチックがいっぱい出てきたんですよ。どんなものか、みなさん見てみてください。

(伊勢崎さんが持ってこられたマイクロプラスチックを回覧。みなさんそれぞれが見て確かめる)

一次産業が自然資本を思いやる形になっていないのが、現実にある。利益を追求することを否定する気はないですけど、自然資源を担保するような一次産業のありかたを模索したいし、つくっていきたいと思っています。だから、「かわ」という絵本を見てもらったんです

(金野)

目視できる大きさのマイクロプラスチックはまだいいほうで、目視できないのもあってそれが海に流れたりしていますよね。農業はできるだけ自然に負荷をかけないものにしたい。けれど、洗濯で柔軟剤を使うとその中にマイクロプラスチックが入っているということもある。ちょっとしたことがいろいろあるけど、それをちょっとずつ変えていきたいし、周りの人に伝えていきたいと思っています。




伊勢崎さんが紹介した「Windy」のサイト(「Windy 海流」で検索)が会場のスクリーンに映し出される。

(伊勢崎)

(スクリーンの世界全体図を見ながら)日本がどこかわかりますか? 岩手はここですね。宮城の石巻あたりをアップしてみると、、。これが海流、海の水の流れ。

想像してみてください。僕の住んでいるお山のてっぺんに一粒の雨が落ちました。雨がたくさん集まって支流に流れて大きな川にいきます。岩手のほとんどの河川の水は宮城県の石巻に流れます。その水がどこにいくのか、僕はそれがすごい気になっているんですよ。想像してみてください。もちろん石巻まで流れた水はもちろん海流と混ざって流れていく。世界中の水の99%が海水だっていわれているので、真水の成分はほとんどないのかもしれない。流れてきたゴミはどこにいくのか? これをなんとなくたどっていくと、このあたりになるんじゃないかな。たどっていってみてください。こう来て、こうやってつながっていますね。海流はアメリカ大陸に近いところまで行く。僕もチャレンジしてここまで行ってみたいんだけど、、。想像力にまかせていくと、一滴の水は太平洋に注がれて世界中の海へいく。それが、時間と空間を経て雨となって還ってきて自分たちに入ってくるということを想像する力を子どもたちに伝えることをしたいなって思っています。すると、やさしくなれる、やさしくならざるを得ない。自分がやった行為というのは、必ず今すぐじゃなくても、必ず世代を経て還ってくるので。僕はずっとパラグライダーというスポーツをやっていたんですが、山から空を飛んでいると川が流れているさまが見えるんですよね。

(金野)すごいですね。これだけ海流が入り組んで、流れているんですね。もちろんほかの国からの漂着物が日本に来ているというもあるだろうし。それこそ全部つながりがある。

(つづいて、スクリーンにはGoogle earthの画面が映し出される)

(伊勢崎)Google earthでいろんなところを見ていくと、グリーンな場所って意外と少なかったりするんですよね。世界中に不毛な場所ってたくさんあるんです。日本はすごく豊か。今世界中に淡水がどんどん減っていて、温暖化で氷河が溶けて淡水が少なくなるっていわれている。だから、ないものねだりではなくて、自分たちの足元にあるものをしっかりと見つめていくことをしていく。

(金野)盛岡のうちの水道水でさえ軟水でおいしいんですよ。東京から友だちが遊びに来たときに、「なんて水がおいしいんだ!」って驚いて、シャワーを浴びると「からだ中にやさしい、とろけるようなものを浴びられて、こんな贅沢はない」って言うんですよね。あたりまえって感じていることを、ありがたい、すごく豊かなところに住んでいるんだって感じなきゃいけないですよね。水も、浄水場がどんどん増えてきて強い薬も入ってきていますもんね。遠野には湧き水あるんですか?

(伊勢崎)湧き水、あると思います。自分たちで山からの水を取水している人もたくさんいます。

(金野)おいしい? 

(伊勢崎)おいしい。水道水より間違いなくおいしい!!



〈2回目につづく〉

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