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高橋博の「自然がなんでも教えてくれる」| 第11話 破壊のあとには必ず建設が待っている


『マーマーマガジン』20号の農特集でお届けした、自然栽培を続ける、高橋博さんのお話。21号からはじまった連載を、マーマーな農家サイトに場所を移して続けていきます。高橋さんの語り口調そのままにお届けします。

構成=服部みれい/再構成=松浦綾子




第11話 破壊のあとには必ず建設が待っている

人間の不安って、3つしかないんだよ。まず、病気の不安。それから、お金の不安。そして、争いの不安。この3つに絞られるんだ。 いろいろな人から相談を受けるんだけど、大抵ここに収束するんだ。そして、この3つがそれぞれ「掛ける2」になってる。たとえば病気だったら、身体の病気と精神的な病気。お金だったら、本当にお金がないのと、こころの貧乏。争いは、本当の争いと、こころの争い。不安っていうのは、この6パターンでできていると思うんだよね。それがなくなったら本当にいいなぁ、と思う。わたしたちにもこういった不安はやって来るんだけど、それを不安として受け止めていないから、大丈夫でいられる。わたしたちが6か月間の塾でやっていることも、そういったことなんだよ。

セミナーでは、一番最初に「破壊と建設の法則」について教えるんだ。これはいろいろなときに使えるからね。破壊だけだと、なにか人生って不安じゃない? だけど、“破壊ごと”はいっぱいあるわな。その破壊だけ見ているといやになっちゃう。でも、破壊のあとには必ず建設が待っている。その原理を知ると、不安なく生きられるんだよ。 土についてもそう。自ら肥毒を破壊しないと生産できない。自然農法も過去の清算をしなくちゃいけない。じゃないと自然農法が成り立たないからね。この清算こそが、破壊。だから、建設をしたかったら、破壊しなくちゃならない。 人間も同じだよ。人間を建設させるには、過去をとってやらないといけない。その過去を捨てられるか捨てられないかだよね。見栄とか、我とか、執着がとれたときは楽なんだ。あれは仏教の世界と同じだね。修行ってそんなことするようだもんね。夫婦間で争いが起こったとしても、この破壊だけだとまずいと思うけれども、必ずその後には建設が生まれているんだ。もう同時に準備されているんだ。

研修生の卒業式のときにも「世の中にでていろいろな困難にぶつかるだろうけど、これを知っていると強いよ」っていってやったよ。破壊みたいなことが起こっても、そのあとには必ず建設があるから、乗り越えていけるよな、って。「そのとおりでした」って年賀状に書いて送ってきてくれた卒業生もいたんだ。 人間世界を超えて自然の世界に到達するには、ちょっと苦しまないとしょうがないよ。しかしこの世界を知ってしまったら、ついもう一歩、もう一歩と超えてみたくなっちゃうんだよ。それがいまのわたしの状態だな。




高橋博の「自然がなんでも教えてくれる」

  • 第1話 純粋なものでやっていく

  • 第2話 自分の感動が覚悟になる

  • 第3話 理想を理想じゃなくしよう

  • 第4話 はじめは「一」でいい

  • 第5話 入った毒は、自然がすぐに処理をしてくれる

  • 第6話 肩こりみたいな症状が土の中で起きている

  • 第7話 頭のなかの肥毒

  • 第8話 先を見て農業をやっていく

  • 第9話 自然流だと、最後はちゃんと実りがある

  • 第10話 大きな目標より目先のことから積み上げていくとうまくいく

  • ・第11話 破壊のあとには必ず建設が待っている

  • 第12話 突いてばかりいるだけじゃなく、引いてみる

  • 第13話 一番いい種を残していく

  • 第14話(最終話) 自然に逆らわず、個性を認めあう




高橋博(たかはし・ひろし) 1950年千葉県生まれ。自然栽培全国普及会会長。自然農法成田生産組合技術開発部部長。1978年より、自然栽培をスタート。現在、千葉県富里市で9000坪の畑にて自然栽培で作物を育てている。自然栽培についての勉強会を開催するほか、国内外で、自然栽培の普及を精力的に努めている。高橋さんの野菜は、「ナチュラル・ハーモニーの宅配」にて買うことができる。 http://www.naturalharmony.co.jp/takuhai/



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