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健一自然農園 健一さんインタビュー


『マーマーマガジン』20号の特集「土とともに生きる」特集で、自然農法第四世代として紹介されました、奈良で自然栽培のお茶をつくる「健一自然農園」の伊川健一さんへのインタビューです。

より転載


僕たちの次の世代は……?

━━本誌20号で、自然農法の「これまで」について、また、伊川健一さんの世代は、「第四世代になる」というところまでお話をうかがったのですが、健一さんから見て、この先の第五世代はどうなっていくと思われますか?

伊川健一さん(以下敬称略、健):まだ未来は確実には決まっていないと思いますが、でも自然界というのは、すべてを見越して、あたらしい時代に合う魂を生まれさせるのだと思います。調和的な感覚をもち、「唯物」ではなく「唯心」というような人たちが生まれてきていると感じます。

━━唯心! わかる気がします。

:以前ある場所に出店したときに、人間観察をしたことがあって。味覚で人格までわかることがあるんですよ。肥料たっぷり系のお茶が好きな人は、我の強い人が多い感じがしました。40歳代から団塊の世代に多いかな……。いや、もちろん、すばらしい感性の方もおられたのですが。

━━好みの味と性格は関係がありそうです。

:日本のお茶って、本来肥料も農薬もいらないほどいい風味のものなのに、いま販売されているお茶の中には「ええお茶やで。この甘み、この香り」って確実にいわせようと、必要以上に強い味にするためにグルタミン酸ナトリウムなどを添加しているものもあります。それを毎日飲み続けると、味覚が洗脳されていってしまったりする。長年、そういうお茶を飲みつけている世代の人たちが僕たちのお茶を飲むと「薄い、味がない」っていいます。

━━あー。

:逆に30代未満の人たちは、健一自然農園の自然栽培のお茶を、ほとんどの人が「おいしい」っていってくれる。これは本当に光だなって思います。僕たちの役割は、彼・彼女たちがそのピュアな感性を発揮できるような道筋をつくること。今の社会をどれだけ切り崩して、ほぐせるかどうかにかかっていると思っています。

━━本当にそうですね。雑誌の役割もそれと似ていると思います。

:先日、高校で環境について学ぶ講座をさせていただいたんですけれど、高校生のみんなには、もう「この人たちは最初からわかってる」という前提で話しました。

━━確かに、若い人ほど、調和的で平和な感覚をもつ人が多いと、わたしも感じています。さて、健一さんの、これからの夢は?

:もう夢は叶っているのですが……。僕は、日本人として日本に暮らしてきたこと自体、南北問題に加担していると思っているんですね。「でもね、僕らは未来の担い手、人の形した光」ってミスチルの曲じゃないですが、この世界が陰陽でできているのなら、3.11が起こった日本において、その対として、(本誌でもお話させていただいた)「大自然の愛が具現化された社会モデルの雛形」が日本で生まれるのではないかと思っているんです。

━━なるほど。大変なことがあれば、その逆も起こるという。

:はい。放射能ではなく、「未来の担い手」のモデルをこしらえる光の要素を僕らは世界に届けられたら、こんなにすばらしいことはないと思います。自然農法の、宗教も哲学も運動も経済もすべてを包含しながら、超えたとき、それは現実化しはじめるんじゃないかって、芸術的に目の前にあらわれるんじゃないかって、実は確信しているんです。



【いかわ・けんいち】

1981年、奈良県生まれ。健一自然農園代表。赤目自然農塾で自然農を学んだのち、奈良県の都祁の里に伝わる茶畑を受け継いで、無農薬・自然栽培の安全な大和茶づくりを行う。 http://www.kencha.jp


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